任意整理は、交渉により債務を減らして返済を続ける債務整理方法なので、免責はありません。
免責とは、「債務を帳消し」にする手続きです。
免責が目的なら、任意整理ではなく、自己破産をする以外に方法はありません。
自己破産、つまり免責の印象を悪く持っている人も多いかもしれませんが、生活を追いつめる債務をなくして、1からやり直すためのチャンスが免責であり、財産を身ぐるみ剥がされ、一文無しになって、虐げられた質素な生活に追いやる宣告ではないのです。
確かに免責を受けると借金が帳消しになる代わりに、財産も処分され、借金返済に充てられます。
ただし、処分されるのは贅沢品に分類されるような財産だけであり、生活に必要な全ての財産は残されるのです。
免責で残される財産
任意整理も生活に必要な財産を残し、もう一度やり直すための手続きです。
ただし、任意整理では住宅ローンは保護されませんし、債権者を納得させるためにも、住宅のように財産と言えるものは処分しなくてはならないでしょう。
住宅を残す債務整理なら、住宅ローン特則のある個人民事再生が適切かもしれません。
自己破産による免責でも、住宅は無理ですが、自由財産として差し押さえ禁止の財産が定義されています。
免責を受けると、身ぐるみ剥がされて放り出されるイメージがあるかもしれませんが、現実的にはかなり手厚く保護されているのです。
免責を受けても差し押されない自由財産について、いくつかまとめておきます。
・99万円以下の現金
・20万円以下の預金
・生活に必要な衣類や家具、電化製品(テレビ・パソコン含む)
・20万円以下の生命保険解約返戻金
・税金を控除した給料の3/4、ただし上限は33万円
・退職金(3/4~7/8の範囲)
・破産手続開始後に取得した財産
免責を受ける条件
任意整理は制度を利用した交渉による債務整理のため、どのような理由で債務が増えてしまったのかまでは問われません。
しかし、免責には、「免責不許可事由」として、免責を受けられない可能性のある行いが定義されています。
自己破産による免責は、任意整理と異なり、誰もが自由に手続きが進められるわけではなく、条件に反しない債務者のみが行える手続きなのです。
下記に代表的な「免責不許可事由」についてまとめます。
・過去7年以内にも免責を受けている人
・ギャンブルや遊興費などにより著しく財産を減少させたり、過大な借金を負ったとき
・破産申請前1年以内に、破産のおそれがあると知りながら事実を隠して、カードで購入したり借金をしたとき。
・不正な手段により、破産処理業務を妨害したとき(虚偽の記載、破棄なども含む)
・虚偽の債権者一覧表の提出や、財産を隠したり、嘘を述べたとき
非免責債権
任意整理と比較するため、免責の特徴についてまとめていますが、免責対象にはならない「非免責債権」についても覚えておきましょう。
免責のよる借金の帳消しは、基本的に抵当権を設定していない貸金業者の債務です。
税金や支払い義務の発生する債務については、免責による帳消しが行われません。
下記に「非免責債権」についてまとめておきます。
・地方税、固定資産税、所得税、法人税など、税金は対象外になっています。
・雇用関係に基づく従業員の給与や退職金など、従業員への支払いは行う必要があります。
・罰金、追徴金など。
・扶養義務者として負担すべき養育費や夫婦の扶助費用。
・着服、横領など、不法行為による損害賠償請求。
・債権者一覧表に記載のない請求、ただし債権者が破産の決定を知っていたときを除く。