任意整理・自己破産など借金にまつわる基礎知識を解説。
夜逃げ
法的な整備が行われ、夜逃げをしなくとも、正当な手段で債務整理ができるようになりましたが、債務を原因とした夜逃げの必要性がなくなったわけではありません。
例えば、任意整理の交渉では債権者が納得してくれず、自己破産の道を選んで、人生をやり直す人はいるでしょう。
上記の例では、法的な整備により、債務整理が可能になりました。
しかし、債権者が法律に則った貸金業者ではない場合は、自己破産手続きが開始されたからと言って、取立を中止するとは思えませんし、免責を受けたからと言って、債権を放棄するとは思えません。
もちろん、任意整理に応じるわけはありませんよね。
つまり、法律を尊重しない債権者相手には、夜逃げをするしか方法がないのです。
夜逃げでなく任意整理も
自己破産のイメージが悪いためか、安易に夜逃げを選んでしまう人も多いのだそうです。
借金の取り立てに追いつめられてしまったとき、個人で可能な対処法は夜逃げだけかもしれません。
「自己破産」は悪いイメージしかなく、正しい知識のない人には、「人生のどん底」へと身を投じる手続きのように思えるでしょう。
確かに自己破産によるデメリットは存在しますし、自己破産を行うと、全国的に氏名や住所が公開されてしまいます。
もし、自己破産のデメリットが支障をきたすのであれば、任意整理や特定調停、民事再生などの債務整理を考えてみてはいかがでしょうか。
もちろん、どの方法も返済が前提にあるため、定職に就いた人でなければ成功しないでしょう。
しかし、夜逃げだけが選択肢ではなく、任意整理を始めとする債務整理方法が用意されていることを覚えておくべきです。
免責とは?
任意整理は、交渉により債務を減らして返済を続ける債務整理方法なので、免責はありません。
免責とは、「債務を帳消し」にする手続きです。
免責が目的なら、任意整理ではなく、自己破産をする以外に方法はありません。
自己破産、つまり免責の印象を悪く持っている人も多いかもしれませんが、生活を追いつめる債務をなくして、1からやり直すためのチャンスが免責であり、財産を身ぐるみ剥がされ、一文無しになって、虐げられた質素な生活に追いやる宣告ではないのです。
確かに免責を受けると借金が帳消しになる代わりに、財産も処分され、借金返済に充てられます。
ただし、処分されるのは贅沢品に分類されるような財産だけであり、生活に必要な全ての財産は残されるのです。
免責で残される財産
任意整理も生活に必要な財産を残し、もう一度やり直すための手続きです。
ただし、任意整理では住宅ローンは保護されませんし、債権者を納得させるためにも、住宅のように財産と言えるものは処分しなくてはならないでしょう。
住宅を残す債務整理なら、住宅ローン特則のある個人民事再生が適切かもしれません。
自己破産による免責でも、住宅は無理ですが、自由財産として差し押さえ禁止の財産が定義されています。
免責を受けると、身ぐるみ剥がされて放り出されるイメージがあるかもしれませんが、現実的にはかなり手厚く保護されているのです。
免責を受けても差し押されない自由財産について、いくつかまとめておきます。
・99万円以下の現金
・20万円以下の預金
・生活に必要な衣類や家具、電化製品(テレビ・パソコン含む)
・20万円以下の生命保険解約返戻金
・税金を控除した給料の3/4、ただし上限は33万円
・退職金(3/4~7/8の範囲)
・破産手続開始後に取得した財産
免責を受ける条件
任意整理は制度を利用した交渉による債務整理のため、どのような理由で債務が増えてしまったのかまでは問われません。
しかし、免責には、「免責不許可事由」として、免責を受けられない可能性のある行いが定義されています。
自己破産による免責は、任意整理と異なり、誰もが自由に手続きが進められるわけではなく、条件に反しない債務者のみが行える手続きなのです。
下記に代表的な「免責不許可事由」についてまとめます。
・過去7年以内にも免責を受けている人
・ギャンブルや遊興費などにより著しく財産を減少させたり、過大な借金を負ったとき
・破産申請前1年以内に、破産のおそれがあると知りながら事実を隠して、カードで購入したり借金をしたとき。
・不正な手段により、破産処理業務を妨害したとき(虚偽の記載、破棄なども含む)
・虚偽の債権者一覧表の提出や、財産を隠したり、嘘を述べたとき
非免責債権
任意整理と比較するため、免責の特徴についてまとめていますが、免責対象にはならない「非免責債権」についても覚えておきましょう。
免責のよる借金の帳消しは、基本的に抵当権を設定していない貸金業者の債務です。
税金や支払い義務の発生する債務については、免責による帳消しが行われません。
下記に「非免責債権」についてまとめておきます。
・地方税、固定資産税、所得税、法人税など、税金は対象外になっています。
・雇用関係に基づく従業員の給与や退職金など、従業員への支払いは行う必要があります。
・罰金、追徴金など。
・扶養義務者として負担すべき養育費や夫婦の扶助費用。
・着服、横領など、不法行為による損害賠償請求。
・債権者一覧表に記載のない請求、ただし債権者が破産の決定を知っていたときを除く。
サラ金業者の取立て
サラ金業者の取立て
任意整理を含め、債務整理手続きを行うと、サラ金業者の取立てが厳しくなるのではないかと不安に思う人は多いでしょう。
しかし、任意整理を始めとして債務手続きが開始されると、サラ金業者などの債務者に対して受任通知が発送されるため、以後の取立行為が規制されるのです。
貸金業規制法が整備される以前は、裁判所の決定が降りる前に、急いで取立を行うサラ金業者もいたことでしょう。
しかし、少なくとも正規の手続きで貸金業を営む業者であれば、債務整理手続きの開始を知れば、取立を行うことはありません。
ただし、ヤミ金融の業者は、存在そのものが規制対象であり、債務整理手続きの開始がどの程度の効果になるのかは、何とも言えません。
サラ金業者の利用ならともかく、ヤミ金融の業者の利用は絶対に避けましょう。
サラ金業者の取立てを規制する法律
任意整理を始めとして、自己破産や個人民事再生などの債務手続きが開始されると、サラ金業者などの債務者に対して通知されるため、以後の取立行為が規制されます。
サラ金業者の取立てを規制する法律は、「貸金業規制法」と呼ばれています。
任意整理によるサラ金業者の取立て規制を要約すると、「取立てを行う際に禁止される行為の明確化」として、「債務の処理を弁護士等又は司法書士に委託し、その旨の通知があった場合には、正当な理由なく債務者等に対して、電話や電報し、若しくはファクシミリを用いて送信、または訪問により当該債務の弁済をを要求することは禁じる」としています。
また、貸金業規制法に違反して取立てを行ったサラ金業者は、行政処分の対象となります。
つまり、任意整理手続きを開始すると取立ができなくなるのです。
グレーゾーン金利とは?
任意整理を行うには、「グレーゾーン金利」と呼ばれる、利息制限を超えた金利の扱いが重要になってきます。
グレーゾーン金利とは、利息制限法に則った金利(ホワイト)と、出資法に違反したヤミ金融などの金利(ブラック)の間にある金利です。
消費者金融などの金利が利息制限法に則った金利ならば、「ホワイト」金利と呼ばれるでしょう。
しかし、消費者金融などでは利息制限法ではなく、出資法に則った金利を要求しています。
つまり、利息制限法に則ったホワイト金利ではなく、出資法に違反したブラック金利でもないため、「グレー」ゾーン金利と呼ばれているのです。
ただし、消費者金融などの業者も、本来なら利息制限法に則った金利を用いなくてはなりません。
グレーゾーン金利は、明確な法律違反ではないものの、正しく法律に則っているとは言えません。
任意整理の手続きでは、利息制限法を超えた利息に対して、引き直し計算を行い、債務を減額しています。
任意整理と利息制限
任意整理による債務整理は、利息制限法を超えた利息に対して、引き直し計算を行い、債務を減額させることがポイントです。
消費者金融などの貸金業者は、出資法の制限である利息の上限「29.2%」を利用して、請求を行っています。
短期の取引であれば、利息制限法に則った引き直し計算を行ったとしても、債務の減額はあまり期待できませんが、消費者金融の利用が長期になるに従い、大きな減額が期待できます。
とくに、5年を経過していれば、かなり債務は減りますし、10年を経過していれば債務がなくなるだけでなく、過払金の請求も行える可能性があります。
つまり、利息制限を超えた請求を行っていた消費者金融業者の逆手を取った債務整理方法のひとつが、任意整理なのです。
弁護士と司法書士の違い
任意整理に伴う弁護士と司法書士の違い「債務金額」
司法書士に任意整理を行う権限が与えられたのは、平成15年の法改正以後です。
ただし、140万円以下の借金についての交渉権と、簡易裁判所の訴訟代理権のみが認められています。
弁護士と司法書士の違いのひとつが、扱える債務総額の違いです。
債務が140万円以下の任意整理を依頼するのであれば、弁護士も司法書士でも同じでしょう。
しかし、140万円を超える債権を持つ業者に対しては、司法書士では任意整理の交渉依頼を扱えません。
司法書士と契約を結んだものの、計算してみると140万円を超えていた業者があるかもしれません。
幸いなことに任意整理は、債務者を選んで手続きが行えるため、140万円以内の債務を持つ業者のみと交渉することも可能ですが、現実的には問題が残るため、弁護士と司法書士の違いを理解したうえで相談しましょう。
任意整理に伴う弁護士と司法書士の違い「代理権」
任意整理の依頼を「弁護士に行うか」「司法書士に行うか」の違いは、債務が140万円以内の業者がどうかで決まります。
契約相手の違いは、弁護士ならば特に制限がないものの、司法書士は140万円以下の借金にのみ、交渉権と簡易裁判所の訴訟代理権が認められていることにあります。
また、債務金額による制限は、任意整理に伴う弁護士と司法書士の違いのひとつですが、自己破産や民事再生手続きを行うときには、新たな弁護士と司法書士の違いが発生します。
自己破産や民事再生手続きを進めるための代理権を、司法書士は持っていません。
つまり、自己破産や民事再生手続きを司法書士に依頼するときは、申請書類の作成のみを担当してもらいます。
弁護士であれば代理人となり、細かな手続きと交渉を行ってもらえますが、司法書士には権限が無いため、大きな違いが発生します。
任意整理に伴う弁護士と司法書士の違い「その他」
任意整理を行う債務が140万円以下ならば、交渉業務における弁護士と司法書士の違いはありません。
ただ、実際に細かく比べていくと、弁護士に依頼する方が有利と言わざるを得ません。
弁護士と司法書士の違いは職業の違いであり、本来は書類作成が主な役割である司法書士と、法律に基づき依頼者の弁護と代理が主な役割である弁護士では、任意整理を行う業務であっても自由度が違います。
例えば、任意整理に伴う過払金が140万円を超えると、簡易裁判所でなく地方裁判所に訴えを起こすため、司法書士では扱えません。
また、債権者が受ける印象も、弁護士と司法書士では異なるでしょう。
もちろん、司法書士の方が費用が安く、手続きに必要な書類作成も得意分野と言えるため、弁護士に依頼することがベストではありませんが、弁護士と司法書士には法的な権限の違いがあるため、弁護士の方が有利と言えるでしょう。
借金の違法取立て
任意整理を含め、債務整理を行う背景には、借金の違法取立てが挙げられます。
債務整理を行わずとも、借金を少しずつ返して行きたいと思う気持ちは、誰にもあることでしょう。
任意整理ならまだしも、借金の違法取立てに疲れ果て、自己破産を選ぶ人も増えています。
本来なら、法律で禁止されているはずの借金の違法取立てが、テレビCMなどで見かける消費者金融でも行われていました。
もちろん、借金の違法取立ては処分の対象となるため、数日間の業務停止命令を受けた消費者金融業者もあります。
ただし、借金の違法取立てが行われる背景には、計画もなく借金を行い、月々の支払いができなくなった人もいます。
借金の違法取立ては問題ですが、返済できない借金を行う人も問題なのです。
具体的な借金の違法取立て
任意整理は利息制限法の範囲で債務を計算し、可能な範囲で借金を返済して行く前向きな方法ですが、借金の違法取立てが増えれば、自己破産の道を選ぶ人が増えるかもしれません。
貸金業を営む業者は、「貸金業の規制等に関する法律」により禁止事項が定められていますので、借金の違法取立てを行わないように注意しなくてはなりませんし、借金の違法取立てを行っていたならば、行政に対して申し出ることも可能です。
違法となる具体的な借金の取立てを、下記に示します。
・他の貸金業者から借入れさせたり、クレジットカードを使用させ弁済させること
・債務者や保証人等の勤務先を訪れ、困惑させたり、不利益を被らせること
・正当な理由なく午後9時~午前8時までの時間に、電話や電報、訪問を行うこと
・張り紙や落書きなどを用いて、債務者の借入れやプライバシーに関する情報を、あからさまにすること
・大声をあげたり、乱暴な言葉遣い、暴力的な態度をとってはならない
・大人数で押しかけること
・法律上の義務のない者に対して支払請求を行ったり、必要以上に取立て協力を要求すること
・調停、破産など、その他手続きの開始を知らせる通知を受け取ったあと、正当な理由なく支払請求を行うこと
・その他、不当な方法で請求や取立てを行うこと
特定調停とは?
特定調停による債務整理は、任意整理と同様の仕組みで行いますが、大きな違いは、裁判所が債務者と債権者の間に入ってくれることでしょう。
任意整理では、弁護士や司法書士に頼っていた交渉の仲介を、特定調停では裁判所の担当者が行います。
高額になりがちな弁護士や司法書士との委任契約を結ぶことなく、個人でも特定調停手続きが行えるため、安価で債務整理ができることも特徴です。
また、特定調停は裁判所で手続きを行いますが、自己破産のように「免責不許可事由」が適応されません。
ただし、任意整理と同じく、債権者との交渉による債務整理が基本ですが、裁判所の調停委員が代理になって交渉を行ってくれるものの、任せっきりではなく、実際に裁判所を訪れる必要があります。
また、債権者によっては交渉が上手く進まず、何度も裁判所を訪れることにもなりかねませんし、全ての債権者を個別に交渉しなければなりません。
特定調停を個人で行うのなら、時間と手間が掛かると考えておくべきでしょう。
任意整理と特定調停のメリット・デメリット
特定調停は、任意整理と同様の交渉で債務整理を行いますが、裁判所が間に入ってくれるため、個人でも借金の整理を行うことが可能です。
「特定調停のメリット」
・弁護士や有識者が調停委員となって交渉するため利用しやすい。
・任意整理と同じく、特定調停の申立てを行うと請求や取り立てが止まる。
・利息制限法に基づき再計算するため、取引年数によっては大幅に減額できる。
・任意整理と同じく、債権者を選んで特定調停を申立てできる。
・保証人への迷惑がかからりづらい。
・官報にも載らない。
「特定調停のデメリット」
・最低3回、最高は数知れず、債権者との交渉が済むまで、簡易裁判所に行く必要がある。
・通常は3年間、長くても5年で借金を返済する必要がある。
・ブラックリストに載る。
・交渉による債務整理なので成立しないときもある。
特定調停の流れ
特定調停による債務整理は、任意整理と同様の仕組みで行いますが、大きな違いは裁判所の調停委員が間に入り、債務者と債権者の間に入ってくれることでしょう。
特定調停の流れを以下にまとめます。
1)裁判所で書類の入手と提出
住居の地区を管轄する地方裁判所の、特定調停申立書類に記入して、裁判所に提出する。
一般的には、1週間から3週間ほどで、裁判所からの呼び出し通知が届きます。
2)裁判所で調停
弁護士や有識者から専任された調停員と会談し、家計の状況や返済計画が詳しく聞かれ、今後の方針の参考にします。
また、2回目以降の調停で、債権者を交えた交渉が、話がまとまるまで、繰り返し調停が開かれます。
3)調停成立
特定調停が成立すると、裁判所が作成した調停調書が郵送されてきます。
調停調書は和解書であり、法的な効力を持つ取り決めです。
決められた支払い条件を守って完済しましょう。
民事再生とは?
個人を対象にした民事再生は、2001年4月にスタートした比較的新しい制度で、「個人民事再生」と呼ばれています。
個人民事再生も任意整理と同じく、借金を帳消しにする債務整理手続きではなく、債務を減額してでも返済を行う、前向きな債務整理です。
ただし、個人民事再生手続きは、安定した収入が見込める人を対象としていて、債務の額も住宅ローンを除き、5,000万円以下の人のみ行うことができます。
また、個人民事再生手続きは、原則的に債務総額の5分の1か、100万円のどちらか多い方の額を返済する計画を立て(3年ほど)、計画に対して裁判所が認可を出し、計画を実行して返済することで、残りの債務が免除される制度なので、可能な限り債務を返済することが前提になっています。
任意整理と個人民事再生のメリット・デメリット
個人民事再生手続きを利用すれば、自己破産を行わなくとも債務整理が可能です。
任意整理のように利息制限法との差額を利用した交渉はなく、自己破産のように資産が無くなるわけでもないため、生活環境を維持したまま債務整理できます。
「個人民事再生のメリット」
・任意整理と比べると、借金が大幅に減ることがあるため、計画が建てやすく確実に返済できることが多い。
・住宅ローンの返済計画を裁判所が変更する「住宅ローン特則」が利用できる。
・自己破産と異なり、「免責不許可事由」が適応されないため、ギャンブル等が原因でも手続き可能。
・自己破産と異なり、制限される職種や資格が無い。
「個人民事再生のデメリット」
・裁判所に収める予納金や、弁護士や司法書士の依頼費用が高額になる(計50万~100万)。
・任意整理以上に手続きが多く、個人で行うことは実質不可能と言われている。
・ブラックリストに載る。
・対象となる債権者を個別に選んで手続きすることができない(任意整理は可能)。
・住宅ローンは減額の対象にならない(抵当権が設定されていると住宅を取られてしまうため)。
個人民事再生の流れ
個人民事再生は、原則的に債務総額の5分の1か、100万円のどちらか多い方の額を返済する計画を立て(3年ほど)、計画に対して裁判所が認可を出し、計画を実行して返済することで、残りの債務が免除される制度です。
個人民事再生の流れを以下にまとめます。
1)代理人への委任契約
個人民事再生手続きは任意整理以上に複雑であり、個人で行うことは困難なため、代理人となる弁護士や、認定を受けた司法書士と委任契約を行います。
2)裁判所へ申立を行う
個人民事再生の申立書類を裁判所に提出しますが、弁護士や司法書士により作られた書類であれば、不備なく再生手続きが開始されるでしょう。
3)債務調査と再生計画案作成
弁護士や司法書士は、債務整理や利息制限法の金利で再計算して、債務総額を確定します。
また、減額された債務をどのように返済するのかを、詳細に定めた再生計画案作成します。
4)意見聴取と書面決議
給与所得者再生ならば債権者の決議は必要で、小規模個人再生なら債権者に対して書面決議を求めます。
また、再生計画案に同意できない債権者は、裁判所に対して書面で不同意の回答を行います。
5)再生計画の認可と支払い
再生計画案に対して裁判所が許可したなら、再生計画案に従い支払いを再開します。
自己破産とは?
自己破産は任意整理と異なり、裁判所を通して債務整理を行うため、法律に守られる反面、法律による制限も受けます。
自己破産と任意整理を比較しながら、メリットとデメリットについてまとめておきます。
「自己破産のメリット」
・免責が認められると、任意整理と異なり、返済の義務が無くなる。
・同時廃止事件であれば、任意整理よりも短期で債務整理が完了することもある。
・債務整理後の支払いが無いため、収入が変わらない。
・個人による自己破産手続きが可能。
「自己破産のデメリット」
・氏名や住所が官報に記載される。
・免責を待つ間は自由が制限される(引越しや長期旅行など)。
・ブラックリストに載る。
・免責を待つ間は職業の制限や資格の停止が行われる。
自己破産の流れ1「自己破産の申立」
任意整理と異なり自己破産は、弁護士や司法書士に委任しなくても、個人で債務整理手続きを行うことも可能です。
また、任意整理とは手続きや工程も全く異なるため、自己破産の流れを紹介しておきます。
「自己破産の申立」
住居の地区を管轄する地方裁判所にある、自己破産の申立書類に記載を行い提出します。
申立書類を受け取った裁判所は、記載に不備が無いか調べ、問題が無ければ受理されます。
また、自己破産の申立の際には、「予納金」と呼ばれる手数料を支払う必要がありますが、財産の無い個人の自己破産では、2万~3万程度でしょう。
任意整理は、弁護士や司法書士に対し、かなり高額な支払いを行う必要があるため、費用の面ではかなり自己破産の方が有利と言えます。
自己破産の流れ2「破産審尋と免責尋問」
自己破産の申立後、1ヶ月から2ヶ月ほどで裁判所から呼び出され、裁判官と面接する「破産審尋」が行われます。
弁護士や司法書士に任せたままの任意整理と異なり、自己破産は、破産の原因や破産を行う個人の人間性も審査されるのです。
「破産審尋」
破産審尋では、自己破産を申し立てた経緯や、支払いが不能となる理由を尋ねられますが、申立書類に記載した内容と異なる答弁をしないように注意しましょう。
また、破産審尋から1ヵ月後には、破産が決定します。
「免責尋問」
破産審尋と破産決定では、借金が無くなったわけではありません。
破産が決定してから、1ヶ月~2ヶ月後に行われる免責尋問で、最終的な判断が下されます。
ただし、免責尋問の内容は、破産審尋とあまり変わりません。
また、免責が認められると借金が帳消しとなる点は、任意整理と大きく異なります。
最後の山場が免責尋問と言えるため、落ち着いて尋問に臨み、免責を勝ち取りましょう。
任意整理とは?
任意整理は、一定の継続的な収入がある人を対象にした債務整理の方法で、自己破産のように、債務を帳消しにする「全てのやり直し」ではなく、返済を前提にした和解方式です。
任意整理は、裁判所を通すことなく、弁護士や司法書士が債務者の代理人となり、債権者(サラ金業者など)と個別に交渉します。
債務の原因となるサラ金業者からの借り入れは、利息制限法を超えた金利を取っていることが多く、代理人となった弁護士や司法書士が、利息制限法に基づいて再計算し直して和解交渉を行い、3年から5年ほどで返済します。
任意整理により借金の利息を再計算すると、利息制限法の限度を超えた金利や、損害金の債務(2~3割)が減ります。
5年以上支払いが継続しているときなど、取引状況によっては、過払金が発生していることがあるため、再計算を行うとお金を取り戻すことも可能です。
ただし、任意整理は、債権者によっては和解が成立しないことがあるため、必ずことがうまくく進むとは限りません。
任意整理のメリット
任意整理は、自己破産を行わなくとも、債務整理ができる方法のひとつです。
裁判所を通さず、弁護士や認定を受けた司法書士が代理人となって、債権者と話し合う和解交渉が任意整理です。
任意整理のメリットについてまとめておきます。
・任意整理依頼が受理されると、債権者に対し受任通知が発送され、以後の取立行為を規制することができる。
・任意整理には、債務総額の確定が必要となるため、和解が成立するまでは、返済する必要がなくなる。
・利息制限法を超えた利息の再計算が行われるため、債務の一部および全額が減額される。
・取引状況によっては、利息の過払いを請求することができる。
・任意整理によって、債権者との間に和解が成立すると、将来の利息が免除される。
・自己破産や個人再生法のように、官報に載らない。
・自己破産のような資格制限がない。
任意整理のデメリット
任意整理は、自己破産を行わなくとも、債務整理ができる方法のひとつです。
任意整理には、自己破産と比べると多くのメリットがありますが、債務整理に伴うデメリットについても覚えておきましょう。
任意整理のデメリットについて紹介しておきます。
・利息制限法の枠での減額はあるものの、状況によっては減額は見込めないため、他の債務整理と比べると借金は減らない。
・任意整理を円滑に進めるには、弁護士や司法書士に依頼する必要があるため費用が発生する(債権者1社に対して4万円ほど)。
・ブラックリスト(信用情報機関)に掲載されるため、借金やローンが組めなくなる。
・あくまでも話し合いによる解決を目指すため、債権者によっては和解が成立しない。
任意整理の流れ
弁護士や司法書士が代理人となって、債権者と話し合い、和解交渉する債務整理方法が任意整理です。
自己破産のように裁判所を通さないため、官報に載りませんし、資格制限もありません。
下記に、任意整理による手続きや交渉の流れを紹介します。
1)代理人への委任契約
債権者との交渉が主な任意整理は、個人で行うことが困難なので、代理人となる弁護士や認定を受けた司法書士と委任契約を行います。
委任契約の際は、弁護士や司法書士と十分に相談し、任意整理による債務整理が可能かどうか確認しましょう。
また、委任契約が行われると、受任通知が債権者に発送されます。
受任通知を受け取った債権者は、法律上、以後の請求を行うことができません。
2)債務調査
代理人となった弁護士や司法書士は、債権者から取引の経過を表す資料を手に入れ、債務調査を行います。
また、債務を利息制限法に則った金利で計算し直し、債務総額を確定します。
3)和解交渉
弁護士や司法書士は、代理人として債権者ごとに和解交渉を行います。
4)和解と返済
代理人と債権者の間で和解交渉が成立します。
以後は、和解案で決められた条件を守り返済して行きますが、原則的には3年(36回払い)で支払いを終えます。